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型の習い方

ちょっと不思議なタイトルの記事になりますが、生徒および弟子見習いの中に武器術などで型稽古になると、挙動が不審になる、何を指導されているのかが分からなくなる、どこが分からないのか尋ねても、どこが分からないのかさえも分からない、という人がそれなりの割合でいます。

この問題について解説します。

まずは動画があるので見てみましょう。



小太刀の稽古です。どれもそんなに複雑なことはしていません。

ではなぜそれが出来ない人がいるのかというと、無手の技が一問一答的なのに対して、武器の技は演劇性、流れがあるものだ、という違いがあるのを気づいていないからではないかと思います。

『昴』というバレエ漫画で、バレエ団が刑務所の慰問に行くエピソードがあります。
どんなアウェイであっても、自分たちの踊りさえ見てもらえば伝わるものがあるはず、と思って主人公たちは踊りますが、囚人たちは「なんかエロいことをやっている」としか認知しておらず、バレエに筋立てがあり、物語なのだ、ということがなかなか理解されません。

型、特に武器の型が苦手な人の抱える問題はこれに似ています。

動画で言うと、小太刀の人と長剣の人という役割、キャラクターがあり、その役に沿ったロールプレイで行動します。
そしてここが重要なのですが、そうした役の二人が出会った結果、短い武器の人が決まった形で勝つという結末があらかじめ設定されています。そういう物語なんだ、と思ってください。

たとえば一本目ですと、長剣側は剣を立てています。立てているから小太刀が先手を取れます。

長剣が青眼ならリーチの長い長剣が先手をとる二本目になります。
ここで小太刀がわずかに剣尖を下げたから、長剣が突いてくる。

小太刀を下げなかったら長剣はそれをを叩きおとそうとするから、三本目になる。

なので、最初に一本目の型をやると決めたなら、結末から逆算して長剣側は剣を立てます。

一本目なのに長剣側が青眼で構える、とか、先手後手を間違えるような現象は本来起こりえません。
それが起きてしまうのは、ロールという概念がなく手順を丸暗記しようとしているか、結末から逆算せずに頭から話を創作してしまっているので違う話になってしまうか、です。

型稽古は棋譜をならべるようなもので、単に機械的に手順をなぞっても何の意味もありません。
相手がこうしたから自分はこうする、というやりとりがあり、なぜそうなるのか、どうしてそれが最善手なのかという理を解するためにやっています。
また、長剣側も単なる「やられ役」ではなく、「それではあの結末につながらないだろう」と思われる場合は、打ち込んで相手の隙を指摘します。そして小太刀側はバッドエンドにならないためにはどうすればいいか、自分の動作を点検し、ブラッシュアップしていきます。習っているのは技ではなく技に対する考え方です。


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