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白桃会の剣術

以前も紹介しましたが、太極拳の中に楼膝拗歩という技があります。
37式では、このときに足を引きずるような「禹歩」という進み方をします。この歩き方は半身マヒだった古代中国の禹王の歩き方に由来するといいます。自分の体に重りを紐でつなぎ、それを投げた勢いでひっぱられて自分も進むような、自力であって自力でない、ワンクッションおいた移動法です。これに限らず、太極拳の多くの技は陰陽、つまり、片側の手足は自律的には動かせないものと仮定して、それを反対側の手足の連動で動かすような使い方をします。繰り返しお伝えしてきた自己の他者化です。

こうしたものはハンディキャップの中から生まれたのかもしれません。普通に歩けて走れる人はわざわざこうした代用品的な運動を思いつかないかもしれない。
そして、そもそも人間がここまで発達してきたのも、毛皮も羽根もひれもなく、爪も牙も不完全な生物で、それを道具で補ってきたからです。つまり不完全性というものは可能性のるつぼであり創造の母です。武術自体がそうした代用品的なものでもあります。

これは、白桃会の剣術の歩法です。



これも自発的に歩くのではなく、足裏を曲面にして、剣の重さでよろめくように歩いていきます。 ※解説

こちらは剣の使い方の一例です。



日常化しすぎていてあまり意識に上がっていないかもしれませんが、ここでも人間が持つ構造的なハンディキャップと、それをどう克服するかということが術のテーマとなっています。それは人間の腕が肩から横方向に生えているということの持つ問題です。

人間が闘争で最も使用する部位は腕、手です。これらは横方向に生えている。
なので、単純に考えると横向きで戦うのが強い。槍術や弓、フェンシングなどは横向きで行うし、無手でもジークンドーや八極拳などはほぼ横向きで攻撃します。
一方、顔と胴体にとっては正面を向いたまま戦うのが自然なので、南の拳法や空手などは正面を向いて戦うことを基本としました。これはどちらが正解なのでしょうか?

剣の場合、片手操作は横向き、両手操作は正面が基本になります。
そして二刀はその両方を行き来します。正面で受けて横に開いて斬る、といった形が多くなります。

ネットなどで二刀流は使いにくい、という意見をたまにみますが、往々にしてそれらは、正面の技術、思想のまま無理やり二刀を使おうとしているし、そもそも横向きの技術がまったく想像の外にある人の場合が大半です。
現代剣道では面を正面からまっすぐ打たないと効果を認められないため、おのずと直線的な前後運動が主になりますが、片手操作や二刀では扇状に片方の足を軸にしたピボットや、入り身が重視されるので、基本戦術が違うのです。それらは太極拳と共通点が多いので、親和性が高いです。

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