昔、あるところに働き者のアリと、キリギリスの武術家がいました。
アリは、「プッ! 武術とか今時ありえないし。そんな事やってる暇があったらせっせとお金を稼ぎますから! 何かあったら警察を呼ぶだけですから!」と言って、キリギリスを馬鹿にして、仕事をし続けていました。
キリギリスは、「どうしてみんな、自分の命に対して真剣に不安を持たないんだろう」と思いつつ、稽古を続けていました。
ある日、同じ電車にアリとキリギリスが居合わせました。
そして、その日に限って、その電車には凶悪なオオクワガタも乗ってきたのです。
「キャー、誰か助けて! 犯されて殺されるーっ!」
アゲハチョウの娘が、オオクワガタにつかまっていました。
アリは、キリギリスに、「おい、お前は武術家なんだろう! 助けてやれよ!」と言いました。
キリギリスは、「あの娘には以前、最近は物騒だから武術でも習ったらどうかと言った。だが、あの娘は、えぇ〜、痛いのとか恐いしぃ〜、コスメとかドラマとか恋愛とかやること沢山あるから無理だしぃ〜、と言ったのだ。」と言いました。
アゲハチョウは犯されて殺されました。
次に、アリがオオクワガタのハサミにつかまりました。
「おい! 頼むから助けてくれ! 金ならやるから!」
「どうして、他人が自分の為に命を投げ出して戦ってくれるなんて思っているんだ? 自分の事は自分でなんとかするのが当たり前だろう? 金で命が買えるとでも思っているのか」
アリも死にました。
最後に残ったキリギリスにも、オオクワガタは襲ってきましたが、キリギリスはそれを難なく倒し、飄然と立ち去りました。
その年の冬、キリギリスは食べるものが無くて死にました。
キリギリスの伝えていた武術は絶え、アリたちは、時折現れるオオクワガタのニュースに脅えながらも、自分だけはきっと大丈夫だと思いながら、また変わらぬ日常に戻っていきましたとさ。とっぴんぱらりのぷう。
教訓》
白桃会に入ろう。入れ。